1、問診 |
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現在、ほとんどの病院が診察の前に問診表を渡して、患者さん自身に書き込んでもらうようになっています。いわば、医師の重要な情報源です。書き込む内容は、次のようなものです。
・ 月経に関する項目(初経の年齢、月経周期、その前の月経の時期など)
・ 妊娠、出産、流産、中絶の有無と回数
・ 自覚症状(お腹のしこり、過多月経、生理痛、貧血など)
・ 持病、既往歴、これまでにかかった婦人家系の病気、過去の手術歴、
家族の病歴
・ 薬に対するアレルギーなど
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2、内診 |
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内診は、女性にとっては受けたくない検査のひとつといわれますが、医師は内診によって直接目で見て、手で触れ、体の内部にある臓器の状態を診断できます。
病気の早期発見という意味からも重要なプロセスといえます。
膀胱に尿がたまっていると内診しにくいため、診察の前には必ずトイレに行く必要があります。その後、専用の内診台の上に座り、膣がやや上向きになるように腰をぴったりとつけ、脚を開きます。
医師は、膣の中に左手の指を入れ、右手をお腹の上に置いて、内と外から同時に圧迫するようにして触診します。この間、約2、3分です。
これによって子宮や卵巣の大きさや形、筋腫がどの部分にどれくらいの大きさであるか、また子宮と周囲に癒着があるかどうかなどを確認します。
小さい子宮筋腫を見つけることは困難ですが、骨盤内のイメージ、手術の難易度などを知ることができます。
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3、超音波検査 |
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超音波検査は、お腹に超音波を当て、その反射波(エコー)によって内部の断面を画像にして見る装置です。
お腹にゼリーを塗り、お腹の上からプローブ(超音波発信機)を当てて検査をする「経腹法」と、プローブを膣の中に入れて検査をする「経膣法」とがあります。現在は、内診に引き続き診察台で行える経膣法がほとんどです。
超音波検査では子宮の大きさ、筋腫の位置、大きさ、数などを知ることができます。また同時に、子宮内膜の状態や、卵巣内の卵胞の大きさなどを観察できます。
ただし、筋腫の大きさについては、計測の仕方によってばらつきがあるので注意が必要です。筋腫は球形をしているとは限らないので、測る角度や位置によって数値が違ってくるからです。
超音波検査は痛みがなく、いつでも何回でも行え、副作用がないという利点があります。またその場ですぐ結果がわかるのも長所ですが、精度という点でやや劣る面があります。
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4、MRI |
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MRI(磁気共鳴画像診断)は、人体の磁気共鳴作用を利用して縦、横、水平などあらゆる方向の断面画像にして見ることができます。超音波より解像度にすぐれているので、子宮腺筋症や子宮肉腫との区別、卵巣のう腫との区別などに重要な情報を与えてくれます。
また不妊症や未婚の人が筋腫核出術を行うときにも、事前に精密な情報を得るためにMRIを行います。特に、術後に妊娠を希望する人には欠かせません。核を摘出したあとに、子宮を完全な形で元通りにする必要があるからです。
MRIはX線を浴びないので、被爆の心配がありません。妊娠の可能性がある人にも安心して使えます。ただ、MRIは設備が大きく高価なため、すべての医療機関にあるわけではありません。
MRIを持たない病院などでは、代わりにCTスキャンを行うことがあります。
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5、CTスキャン |
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CTスキャンとは、コンピュータ断層撮影のことです。X線を使って体を1センチ単位の輪切りにして撮影していきます。検査時間は、MRIが15分から20分なのに対して、10分くらいです。
MRIのようにひとつひとつの筋腫の大きさや位置について精度のある情報は得られませんが、一緒にリンパ節を見たいというときはCTのほうがよくわかります。
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6、子宮鏡検査 |
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子宮鏡は子宮内くうを調べるための器具で、超音波やMRIでは正確に知ることができない、内くうの状態を直接観察することができます。おもに粘膜下筋腫があるかどうかを調べるときに、追加検査として行われます。
粘膜下筋腫は子宮の内くうに向かって成長する筋腫なので、大きさや内こうへの突出状態を詳しく調べるわけです。使用するヒステロファイバースコープは、直径3.0〜4.8mmで、挿入時の痛みも少なく、麻酔なども不要です。
また子宮内くうに粘膜下筋腫を発見したときは、内視鏡の先にあるループ状になった電気メスで腫瘍を削り取ることもできます。この場合は局所麻酔が必要です。
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7、子宮卵管造影検査 |
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精子と卵子による受精は、卵管の中で行われます。受精が終わると、受精卵は分裂を繰り返しながら卵管を通って子宮にまで移動してゆきます。しかし卵管が何らかの理由で通りにくい状態になっていると、不妊の原因になります。
子宮筋腫の検査で、はじめからこの検査が必要という訳ではありません。筋腫があるために不妊の状態が続いているが、子供が欲しいという人が検査の対象です。
検査方法は、子宮口からカテーテルを子宮内くうに入れ、造影剤を流し込んでレントゲン写真を撮るという方法です。
これによって卵管狭窄、閉塞、周囲の癒着の状態などを調べます。そして卵管が詰まっていることがわかった場合は、卵管への手術を行います。
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8、血液検査 |
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血液検査も、子宮筋腫にとっては必ずしも必要な検査ではありません。血液を調べても筋腫があるかどうかはわからないからです。
ただし、子宮筋腫の疑いが濃厚なときや、筋腫が見つかった後に治療の途中で行われることが多い検査です。
【貧血の検査】
貧血の程度はヘモグロビンの値を見て判断します。ヘモグロビン値が12g/dl 以下になっていたら「貧血」と診断します。
貧血の中でも、鉄欠乏性貧血は圧倒的に多い貧血です。原因として考えられるのは、子宮筋腫による過多月経です。治療薬として鉄剤の服用が行われます。
【腫瘍マーカー】
子宮筋腫以外の病気があるかどうかの検査、また子宮筋腫と子宮腺筋症や子宮内膜症などの合併があるかどうかを調べるのに有効です。
使われるのはCA125という、卵巣ガンを調べるときに使われる腫瘍マーカーですが、子宮腺筋症や子宮内膜症があるときも通常より値が上昇します。 |