肛門の病気 〜 痔の原因と種類について
痔とは肛門およびその周辺に起きる病気の総称です。
日本人の3人に1人は痔主といわれています。
痔はなぜこんなに多いのか
痔の原因ですが、人間は立って歩くので、消化管の最下端にある肛門には常に重力がかかっています。人は毎日排便のためにいきむので、そのつど肛門に強い付加がかかるのは宿命なのです。
年齢を経るにしたがって、肛門は異常をきたしやすくなります。
さらに近年は、日本古来の繊維質に富んだ食事よりも、西洋風の残滓の少ない食事を摂るようになりました。そのため便の量が減少し、便秘がちになって排便時にいきむ人が増加しています。
その結果、日本人の3人に1人、50歳以上の人なら2人に1人は、いぼ痔、切れ痔その他何らかの肛門の病気を持っているといわれます。
なぜ痔になるのか
肛門には静脈が集中しています。肛門の近くに網の目のように広がっているのが門脈です。
この門脈は非常に細いので詰まりやすく、いきみや硬い便などを繰り返すと血流がとどこおり、うっ血を起こして傷やこぶを作ります。これが痔です。そこに毒素や細菌などが入り込んで悪化するのです。
毛細血管は細く、目詰まりが起こりやすい。
目詰まりは痔などの発生につながる。 |
痔の最大の原因は便秘
腸内環境の乱れは便秘を引き起こします。排便を我慢したり、運動不足、栄養不良、水分不足などが続くと、便を送り出す腸の蠕動運動が衰えて便秘になります。
便秘が習慣性になっている人は多く、3人に2人は習慣性といわれます。便が長時間腸の中に滞ると、これをエサに悪玉菌が増殖します。悪玉菌はアンモニアやメタンガス、硫化水素を発生させます。その毒素が腸から吸収されて、痔をさらに悪化させます。
痔になりやすい人
じっと座って仕事をしている人、立ち通しの人は肛門がうっ血して痔になりやすいといえます。また妊娠、出産も痔と大きな関係があります。
さらに体を冷やしすぎる人、長く病気で寝ている人も肛門にうっ血を起こしやすくなります。心臓・血管の悪い人、肝臓の悪い人、血圧の高い人、骨盤臓器の病気のある人なども痔になりやすいのです。
痔の種類
痔には3つの種類があります。
■ いぼ痔(痔核)
■ 切れ痔(裂肛)
■ あな痔(痔ろう)
上記3種類の痔で肛門の病気の9割以上を占めています。
1、いぼ痔(痔核) |
肛門の周囲の血管内に血液がうっ血し、こぶ状のかたまりになったもので、内部にできる「内痔核」と外部にできる「外痔核」があります。
いずれも痛みと出血を伴います。こぶが大きく育って、排便時に脱出した状態を「脱肛」といいます。脱肛になると痔核が肛門をふさぎ、便が出にくくなります。このような状態を放っておくと腸の動きが不順になり、痔がさらに悪化します。 |
2、切れ痔(裂肛) |
硬い便を排泄する際、肛門が裂けて傷ができるものです。排便時に強い痛みと出血を伴います。傷は治ると固い組織になり、これを繰り返すとますます固くなって肛門を狭くします。
つまり、切れる→痛いので我慢する→便がたまる→水分を吸収して便が固くなる→切れる→ますます狭くなる、という悪循環を繰り返します。 |
3、あな痔(痔ろう) |
肛門と直腸の境目にあるくぼみ部分に細菌が入り込み、炎症をおこします。そこに細菌が入り込むとしだいに膿の塊ができます。
これは座っていられないほどの痛みを伴いますが、さらに症状が進むと膿が肛門の皮膚を破って、肛門の外まで膿の通り道を作ります。
この慢性的な膿の管(ろう管)ができたものを痔ろうといいます。痔ろうが深く広く、複雑になるほど肛門をしめる括約筋が固くなったり、肛門が狭くなったり、腸の動きが鈍くなったりして排便障害を起こします。 |
4、肛門周辺のがん |
肛門管に発生する悪性腫瘍です。直腸の粘膜部分に発生する腺がん、肛門の皮膚にできる扁平上皮がん、痔ろうが 「がん化」 した痔ろうがんなどがあります。
出血、痛み、分泌、便が出にくいなどの症状が痔とよく似ているので注意が必要です。 |
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